診療科
形成外科
診療の概要
先天性、後天性の顔面、手足などの外見上、機能上の変形、欠損、醜形を治療する科です。
診療の特徴
○手の外科
手は、日常的によく使われるところであり、けがをすることが多い部位です。その手の外傷の治療を行っています。また、変形、機能障害に対しても治療を行っています。具体的には、指の骨折、舟状骨を含む手根骨骨折、脱臼、捻挫などに対し、保存的療法または手術的療法を行います。指神経断裂、伸筋腱断裂、屈筋腱断裂に対し縫合術を行います。また、組織欠損に対し、植皮術、皮弁術を行います。その他、瘢痕拘縮、デュプイトレン拘縮の治療も行っています。
○顔面外傷
顔の傷をなるべく目立たないように縫合します。傷跡に対しても、なるべく目立たなくするために切除し、再度きれいに縫合します。また、頬骨、鼻骨などの顔面骨の骨折に対し、手術を含む治療を行っています。
○外表先天異常
外見上、機能上問題となる、顔や手足の先天異常の手術療法を行っています。福耳、埋没耳、耳垂裂、耳瘻孔、おれ耳、唇裂、口蓋裂、副乳、臍突出症、多指症、合指症、などの手術療法を行っています。
○熱傷
皮膚科の先生と協力し、入院、手術が必要な熱傷を治療しています。植皮を含む手術を行っています。
○癌切除後の再建
他科と協力し、癌切除後の組織欠損に対し、植皮術、皮弁術、筋皮弁術などで再建します。
○一見ささいと思われる疾患
- 陥入爪
足の親指の爪がくいこみ、爪の横が膿む病気です。軽度であれば、薬物治療を行いますが、重度はフェノール液により、爪のくいこむ部分を焼く治療を行っています。
- バネ指
手の指の腱が腫れ、腱鞘に引っ掛かって痛みのでる病気です。バネがあるように指がかっくんかっくんと動く為、この名があります。腱鞘内にステロイドの注入を行っています。手術療法も行っています。
- 突き指
良くあるけがですが、骨折、脱臼、靭帯損傷など伴うこともあり、軽視できないものがあります。一応病院で受診することをおすすめします。
- 槌指変形
DIP関節(指の関節で、爪に一番近い関節)において指を伸ばす腱が切れるけがです。ちょっとぶつけたくらいでおこることもあります。専用の装具があり8週間の装具療法を行っています。
- 木片異物
手などに、木片、竹などを刺し、大きな破片が残ると、まず確実に化膿します。摘出しない限り膿みが出続けます。レントゲン写真では写らないことが多く、治療が難しいけがです。しかし、MRIでは写ることが多く、MRIで位置を確定した後、切除を行っています。
- ケロイド指
ケロイドは治療が難しい疾患ですが、注射、軟膏、内服薬、圧迫療法などを行っています。外見上の改善は難しい事が多いですが、痛み、痒みなどの症状の軽減は可能と思います。
- 毛髪欠損
頭部の火傷、けがなどで、傷跡になり毛髪が欠損している場合にティッシエキスパンダー法で直せる場合があります。ティッシエキスパンダーはシリコンの袋で、これを毛のある頭の皮の下に手術で挿入し、傷が治ってから食塩水を少しずつこの袋に注入し、袋をふくらませてその上の皮膚をのばしていく方法です。皮膚が伸びきったら再度手術を行い、袋をとりだし、毛髪欠損部を切り取り、伸びた皮膚を引っ張ってきて切除した部分を覆い縫合します。
- ピアスケロイド
ピアスを耳たぶにあけた後、穴周辺が固くなりケロイドとなることがあります。穴周辺が固くなる程度から3cm大の硬いボール状に盛り上がるものまであります。このケロイドのみは手術で切除しても、再発率が他のケロイドよりかなり低い為、切除を行います。しかし、一応ケロイドなため、術後6か月は厳重な観察と、テープ保護を行っています。
診療実績統計
○手術件数
【2020年度】
疾患大分類手技数 |
入院 | 外来 | 計 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
全身麻酔 | 腰麻・ 伝達麻酔 |
局所麻酔 ・その他 |
全身麻酔 | 腰麻・ 伝達麻酔 |
局所麻酔 ・その他 |
||
外傷 | 16 | 11 | 85 | 112 | |||
先天異常 | 2 | 2 | 4 | ||||
腫瘍 | 7 | 1 | 101 | 109 | |||
瘢痕、瘢痕拘縮、 ケロイド |
2 | 2 | |||||
難治性潰瘍 | 10 | 16 | 26 | ||||
炎症・変性疾患 | 6 | 2 | 51 | 59 | |||
美容(手術) | 0 | ||||||
その他 | 1 | 1 | |||||
Extra レーザー治療 | 0 |
【2021年度】
疾患大分類手技数 |
入院 | 外来 | 計 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
全身麻酔 | 腰麻・ 伝達麻酔 |
局所麻酔 ・その他 |
全身麻酔 | 腰麻・ 伝達麻酔 |
局所麻酔 ・その他 |
||
外傷 | 8 | 2 | 3 | 53 | 66 | ||
先天異常 | 5 | 5 | |||||
腫瘍 | 4 | 1 | 101 | 106 | |||
瘢痕、瘢痕拘縮、 ケロイド |
2 | 6 | 8 | ||||
難治性潰瘍 | 8 | 3 | 24 | 1 | 36 | ||
炎症・変性疾患 | 2 | 4 | 47 | 53 | |||
美容(手術) | 1 | 1 | |||||
その他 | 0 | ||||||
Extra レーザー治療 | 0 |
【2022年度】
疾患大分類手技数 |
入院 | 外来 | 計 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
全身麻酔 | 腰麻・ 伝達麻酔 |
局所麻酔 ・その他 |
全身麻酔 | 腰麻・ 伝達麻酔 |
局所麻酔 ・その他 |
||
外傷 | 14 | 132 | 146 | ||||
先天異常 | 6 | 2 | 8 | ||||
腫瘍 | 10 | 120 | 130 | ||||
瘢痕、瘢痕拘縮、 ケロイド |
10 | 11 | 21 | ||||
難治性潰瘍 | 8 | 3 | 17 | 5 | 33 | ||
炎症・変性疾患 | 4 | 3 | 74 | 81 | |||
美容(手術) | 0 | ||||||
その他 | 0 | ||||||
Extra レーザー治療 | 0 |
ドクター紹介
医師名 | 認定医/専門医等 |
---|---|
統括診療部長補佐 澤村 武 |
日本形成外科学会認定形成外科専門医 |
副科長 齋藤 香奈 |
緩和ケア研修会受講済 |
発表等
◯地方学会・研究会
- 澤村武、渡部紀久子、齋藤香奈
- 尺側反回皮弁で再建したプレーと露出を伴う肘部潰瘍の1症例 [第30回宮城県形成外科懇話会(仙台)2022.7.18]
形成外科 過去の業績
【2021(令和3)年度】
○地方学会・研究会発表
- 澤村武、渡部紀久子
- 回腸人工肛門より発生した腺癌切除後の腹壁欠損を、鼠径皮弁で再建した症例 [第29回宮城県形成外科懇話会(仙台)2021.6.26]
【2017(平成29)年度】
○地方学会・研究会発表
- 佐藤佑樹
- 手の熱圧挫創の治療例
[第26回宮城県形成外科懇話会(仙台)2017.6.17]
【2015(平成27)年度】
○全国学会発表
- 澤村武
- 脊髄損傷患者における再発を繰り返した坐骨部褥瘡の治療例
[第17回日本褥瘡学会学術集会(仙台)2015.8.28-29]