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診療科

放射線治療科

診療科の概要

 放射線治療は「手術療法」「薬物療法」と並ぶ、がんの3大療法のひとつです。病変部に放射線を照射することで、周囲の臓器を温存したままでがん細胞を死滅させられる利点があります。放射線治療には、単独もしくは抗がん剤との組み合わせで病気の治癒を目指す根治照射のほかに、手術の前や後に放射線を照射することで病気の再発を抑制する術前・術後照射、がん病変による痛みや神経症状を軽減する緩和照射などがあり、がん診療や一部の良性疾患の治療においてさまざまな場面で利用されています。
 当院では2013年8月より東北大学病院放射線治療科の診療支援のもと、医療用直線加速装置(リニアック)を使用した放射線治療を行ってきました。2022年4月には常勤の医師が着任し、他の診療科との連携をより密に取りながら患者さん一人ひとりにあった治療をお届けしています。2024年6月には新しいリニアックを導入し、より高精度で安全な治療の実施に取り組んでいます。

診療の特徴

 治療にあたっては、治療の内容や照射方法を決定する放射線治療専門医のほか、治療時のリニアックの操作や治療計画CT検査を担当する診療放射線技師、治療時の注意点の説明や日々の体調や副作用の相談・ケアを担当する看護師がチームとなって患者さんを担当します。
 放射線治療は通常1日1回、15分前後で行われます。この間は横になって安静を保つ必要があります。回数は疾患により異なり、短い場合で1~5日間程度、長い場合で2か月程度の治療を行います。照射中に患者さんが痛みや熱などを感じることはありません。治療回数が進んでくると部位に応じた副作用が出てくる場合がありますので、薬剤や照射方法の調整などによる対応を行います。

放射線治療の進め方

1. 診察

 医師が診察を行い、放射線治療の方針を検討します。診察の際には、治療の方法や回数、期待される効果、予測される副作用などについてご説明します。治療に関するご質問やご希望がありましたら遠慮なくお聞きください。

2. 治療計画

 放射線治療の照射方法を決定するためにCT検査を行います。疾患によっては、事前の食事や排尿・排便について指示を出す場合があります。また検査に際して、体を固定するための器具を作成したり、点滴から造影剤を注入する場合もあります。撮影後には治療位置の目安としてマジックで体にマーキングを行います。

3. オリエンテーション

 放射線治療の開始前後での注意点や日常的なケアについて、資料やDVDを用いて看護師が説明を行います。

4. 治療

 CT検査の数日後から、放射線治療を開始します。治療の際、はじめに患者さんにはベッドで横になっていただき、それからレーザーや透視装置を用いてベッド位置の微調整を行います。位置が正確に合っていることを確認してから、治療用の放射線を照射します。
 治療期間中は1週間に1回、医師による診察を行います。このほか症状の出現時などは随時診察を行います。患者さん一人ひとりの状況にあわせ、副作用を軽減する投薬や、治療内容の調整を行います。

5. 経過観察

 治療完了後は紹介元の外来にお戻しします。必要な場合には、放射線治療科でも並行して継続的な診療・ケアを行っています。

治療設備

 当院では2013年より放射線治療を行ってまいりましたが、このたび2024年6月に放射線治療装置を更新し、最新の治療設備での放射線治療を行っております。

放射線治療装置

放射線治療装置

 放射線治療装置における世界トップシェアを持つ米国Varian社のVitalBeamを導入しています。定位放射線治療などの高精度放射線治療にも対応しています。また、高度な治療計画に対応したコンピュータシステムや、高速で線量集中性の高い照射が可能となるFlattening filter free beam、患者さんの治療位置を正確に微調整できる6軸可動寝台、治療時の呼吸波形を測定するRGSCといった付随機器も充実しており、精度の高い治療を迅速に行うことのできる設備となっています。
 治療室の天井照明には、ドイツSkylight社のLEDフォトプリントライトを導入しており、明るく開放感のある治療室となっています。

治療計画CT

治療計画CT

 治療計画専用のCT装置を保有しており、患者さんをお待たせすることなく迅速に治療の準備を行うことができます。2022年に装置を更新し、キヤノンメディカルシステムズ社のAquilion Exceed LBを導入しました。放射線治療時の姿勢にも対応した開放感のある大きな開口部を有しているほか、呼吸運動に合わせた4DCTの撮像が可能であり、放射線治療での利用に適した設備となっています。

診療実績

放射線治療人数(新規患者数)

年度 / 人数 2019 2020 2021 2022 2023
104 114 118 154 185

ドクター紹介

医師名 認定医/専門医等
科長
武田 一也
日本放射線腫瘍学会・日本医学放射線学会認定放射線治療専門医
第1種放射線取扱主任者
青森県緩和ケア研修会受講済
東北大学大学院医学系研究科 非常勤講師(放射線腫瘍学分野)

認定資格

・放射線治療専門放射線技師 2名

発表等

◯論文

Kazuya Takeda, Rei Umezawa, Takaya Yamamoto, Noriyoshi Takahashi, Yu Suzuki, Keita Kishida, So Omata, Keiichi Jingu
Lymphocytopenia following adjuvant radiotherapy for breast cancer. [Prec Radiat Oncol. 2024;8(1):22-29]
Kazuya Takeda, Rei Umezawa, Takaya Yamamoto, Noriyoshi Takahashi, Yu Suzuki, Keita Kishida, So Omata, Keiichi Jingu
Survival prediction nomogram for patients with vertebral bone metastases treated with palliative radiotherapy. [Rep Pract Oncol Radiother. 2023;28(5):646-653.]
Kazuya Takeda, Rei Umezawa, Takaya Yamamoto, Noriyoshi Takahashi, Yu Suzuki, Keita Kishida, So Omata, Keiichi Jingu
Acute hematologic toxicity of radiation therapy – a comprehensive analysis and predictive nomogram. [Journal of Radiation Research. 2023;64(6):954-961.]

◯全国学会発表

武田一也、梅澤玲、山本貴也、高橋紀善、鈴木友、岸田桂太、尾股聡、神宮啓一
放射線治療を受けた椎体転移患者における予後予測因子の検討 [第61回日本癌治療学会学術集会(横浜)2023.10.19-21]
武田一也、梅澤玲、山本貴也、高橋紀善、鈴木友、岸田桂太、尾股聡、神宮啓一
放射線治療後の血球減少の予測モデルの構築 [日本放射線腫瘍学会第36回学術大会(横浜)2023.11.30-12.2]

放射線治療科 過去の業績

2022(令和4)年度

◯論文

Kazuya Takeda, Yoshihide Kawasaki, Toru Sakayauchi, Chiaki Takahashi, Yu Katagiri, Takaya Tanabe, Yojiro Ishikawa, Keisuke Fujimoto, Masaki Kubozono, Maiko Kozumi, Keiko Abe, Kakutaro Narazaki, Shun Tasaka, Rei Umezawa, Takaya Yamamoto, Noriyoshi Takahashi, Yu Suzuki, Keita Kishida, So Omata, Akihiro Ito, Keiichi Jingu
Clinical significance of completion of radium-223 treatment and acute adverse events in patients with metastatic castration-resistant prostate cancer. [Asia Ocean J Nucl Med Biol. 2023;11(1):13-22.]
Kazuya Takeda, Toru Sakayauchi, Masaki Kubozono, Yu Katagiri, Rei Umezawa, Takaya Yamamoto, Yojiro Ishikawa, Noriyoshi Takahashi, Yu Suzuki, Keita Kishida, Keiichi Jingu
Palliative radiotherapy for gastric cancer bleeding: a multi-institutional retrospective study. [BMC palliative care 2022;21(1):52-52]

◯全国学会発表

武田一也、梅澤玲、山本貴也、高橋紀善、鈴木友、岸田桂太、尾股聡、小川弘朗、神宮啓一
椎体に対する緩和的放射線治療における予後予測式の作成 [日本放射線腫瘍学会第35回学術大会(広島)2022.11.10-12]

◯講演

武田一也
放射線治療科の魅力とキャリアパス [第9回北日本臨床研修医のための放射線医学セミナー(web開催)2022.6.18]

2014(平成26)年度

◯学会・研究会発表

渡邉暁、坂野隆明、金澤義、中村大介、佐藤静、佐藤州彦
業務フローナビゲーション機能を活用した放射線治療情報システムの運用
[第70回日本放射線技術学会総合学術大会(横浜)2014.4.10]
渡邉暁、金澤義、中村大介、佐藤静、佐藤州彦
多目的用途を備えたWinston-Lutzテスト用治具の作成
[第42回日本放射線技術学会秋季学術大会(札幌)2014.10.11]

2013(平成25)年度

◯学会・研究会発表

渡邉暁、坂野隆明、中村大介、佐藤州彦
生体情報認証機能を活用した放射線治療情報システムの運用 [第41回日本放射線技術学会秋季学術大会(アクロス福岡)2013.10]
渡邉暁、坂野隆明、金澤義、中村大介、佐藤静、佐藤州彦
ヒューマンエラーの排除機能を強化した放射線治療情報システムの運用 [第3回東北放射線医療技術学術大会(コラッセふくしま)2013.11]
金澤義、渡邉暁、中村大介、佐藤静、佐藤州彦
当院における放射線治療の現状< [平成25年度宮城県放射線技師会 第四支部勉強会(みやぎ県南中核病院講堂)2013.12]