初期臨床研修医採用
研修医の1日
初期研修医2年目
研修医の一日(消化器内科)
朝6時にスマホのアラームが鳴り眠い目をこすりながら起床する。
朝が苦手なため寝ぼけ眼でばたばたと身支度をしながら、7時すぎにプレ回診をするために病棟へ行く。消化器内科は消化管・肝・胆・膵と範囲がとても広い。静脈瘤破裂による上部消化管出血、虚血性腸炎による下部消化管出血、早期胃癌のESD後、急性胆管炎、肝硬変の腹水貯留、急性膵炎など症例は盛りだくさんだ。ローテート始めだと患者さんを把握するのに精一杯だが、時間が経つにつれて患者さんの把握はスムーズになってくる。
「あ、昨日の夜間救急で胆管炎の患者さんが入っているな…」ということもしばしば。内視鏡室で検査が始まるまで担当患者さんのカルテを書き、9時ころから内視鏡室でまずは上部消化管内視鏡検査がスタートする。今日はどの患者さんの内視鏡検査を担当しようか…と患者さんリストを眺める。当院消化器内科ローテートでは1年目研修医は将来の希望にかかわらず、上部消化管内視鏡検査を10件やるのが目標だ。前回ポリープがあったけれども今回は大きくなっているのだろうか、注意深く見ていく。萎縮性胃炎は変わらないな。と思いながら検査を終了し、レポートを記入する。もちろん検査をやっているときもレポートのチェックもきちんと指導医の先生に確認してもらう。困ったときやてこずったときのバックアップは完璧である。
コンビニで買った昼食を口にしながらもう一度カルテを確認する。そろそろ採血の結果が出ただろう。消化管出血の人はヘモグロビンが改善している。輸血の効果は抜群だ。急性膵炎の人は炎症反応も膵酵素もよくなってきた。そろそろ食事を開始してもよさそうだ。主治医の先生に「採血結果よくなっていたので食事を開始してもいいでしょうか」と提案する。「先生ありがとう、それでいいよ」と承諾されると判断は間違っていなかった、とほっとする。
そして午後からは胆膵内視鏡が始まる。いわゆるERCPだ。私は助手に入り、ガイドワイヤーを進めたり引いたり、必要があれば造影剤を注入したりする。せっかく胆管に入ったガイドワイヤーが抜けてしまうと一からやり直しになってしまうためガイドワイヤーを抜けないように微調整するのは大仕事だ。造影すると胆管結石が見えた。結石をとってくるために今回はバルーンを選択した。石がたくさん出てくると見ていて爽快である。チューブを留置して無事にERCPは終了した。検査や処置が落ち着くともうすでに17時近くだ。夕方のチーム回診が始まる。今日は何ともなかったのか確認しながら回る。明日から食事開始ですよ、と伝えると患者さんも笑顔になる。
17時15分。今日は当直業務だ。夕ご飯をまたコンビニで購入して救急外来へ向かった。
初期研修医2年目
循環器内科での一日
循環器内科は8時半から重症病棟の総回診なので、7時過ぎには病院に行き、担当患者のカルテ確認と回診を済ませる。やはり気になるのは重症の患者さんだ。呼吸状態、循環動態、尿量などをもとに現在の状態の把握に努める。
総回診で担当患者のプレゼンを済ませた後は指導医とともに回診し、治療方針を確認する。その後はカテーテル室へ。1年目は3rdとしてワイヤーやカテーテルの準備や受け渡しが仕事だ。どの科でもはじめは慣れるのに苦労するが、心カテ、とくにPCIでは用いるデバイスの種類が多く、覚えるのが大変だ。日本製のワイヤーやカテーテルには「カムイ」だの「サスケ」だの「イカズチ」だのケレンな名前がついているものがある。それぞれの名づけには開発者の思いが籠っているのだろうが、残念ながら、個性的な名前とは裏腹にペーペーの1年目にはどれも同じワイヤーに見える。
今日は担当患者さんの心カテだ。採血や心エコーでもある程度は病態の推測がつくが、心カテで各種の圧数値や冠動脈狭窄の有無の情報が得られているか否かで大違いだ。学生時代には心室内圧の正常値など中々馴染めなかったが、弁膜症の患者さんの心カテに参加してようやくその意義を実感できた気がする。
カテが終わると病棟業務へ。採血やX線の結果を確認し、方針を考える。治療の変更が必要な場合は、夕回診までに指導医に提案できるように教科書やガイドラインを当たる。
そうこうしているうちに急患のコール、急性心筋梗塞だ。手の空いている循環器内科医が全員集まり、患者を急いでカテ室へ搬送する。急性心筋梗塞の患者への緊急カテーテルは初期研修のうちでもっとも緊迫する場面の1つだ。患者の状態が刻一刻と変動していくなかで何とか状況の把握に努め、自分にできることを探していると、あっという間に時間が過ぎていく。
夕回診が終わった後は日中の仕事の中での疑問点について調べ、翌日の準備をする。勉強すべきことは尽きないが、充実した日々だ。